【どんどん亭】安心して長く働いてほしい。その想いを実現するために導入した福利厚生・待遇を人事に詳しく聞いてみた。

イエロー

written by ダシマス編集部

九州で50年以上にわたって体験型お好み焼きレストラン「どんどん亭」を中心に複数のブランドを運営しているMiコーポレーション株式会社。

『目の前の人に”うまい”を! 九州から”満福”を!』をコンセプトに、子ども連れでも大人数でも、誰でも価格を気兼ねすることなく通えて、お腹いっぱいになるまで団欒できる居場所。

お客様だけではなく、働くクルーも真っ当な対価を得て活き活き働ける居場所。そんな居場所を作り続けることで、まっすぐに成長していく会社。

そんなMiコーポレーション株式会社では、お客様からクルーまであらゆる人のお腹と心を「満福」にする会社として、小さな幸福の輪を仕掛けています。

 

今回は、働きやすさを重視した取り組みとして「お給料の手残りを多くしたい」、「せっかく入社してくれたのなら長く働いてほしい」という想いから2024年4月より導入された2つの新制度について、導入に至った背景を人事の柴田さんにお聞きしました。

柴田 結子

柴田 結子

入社歴:2010年4月
経歴:大学生の時、どんどん亭でアルバイトとして働き、卒業後に正社員として入社。店長としてのキャリアを経て、本部の人事担当として従事。
部署:総務部
出身:福岡県糸島市
趣味:犬と散歩

現場から人事担当になったことで見えてきた自社の課題

ーー現在は人事として働き、以前は現場で働いた経験をされている柴田さんだからこそまずはお伺いしたいのですが、人事目線、現場目線としてどのような葛藤やギャップがあるのか、難しさを感じているのかお伺いさせてください。

店長をしていた頃から人手不足は感じていました。

ただ、現場で働いていた時は、人手不足だから採用したいというのを本社に伝えて、募集してもらって、応募が来るのを待つだけの状態だったので、求人募集に関してはどのくらいの苦労があったのかを知りませんでした。

 

そのため実際に人事になってみて、求人ってただ出せば応募が来るものではなくて、どの媒体にどのくらいの費用を掛けて、どんな人をターゲットに、どんな求人原稿にすればいいか?を考えるのがものすごく難しく感じましたね。

また採用活動をするにあたって、いくら求人内容や媒体にこだわっていても、会社のブランド力が大きく影響していてブランド力も底上げする必要があり、採用活動において求人をただ掲載するだけでは採用がうまくいくものではないと日々感じています。


 

ーー自社だけではなく他社含め飲食業界の目線でいくと、現場の人はどんなことに困っていると思いますか。

シンプルに、飲食店で働きたいという人が減ったなと思いますね...。


 

ーーそんな中で、一つの取り組みとして福利厚生や待遇など従業員が働きやすい環境を整えているかと思いますが、その中でも従業員に浸透している福利厚生は何かありますか。

正直、あまり福利厚生で目立つものがないなと思う部分もあり、そこが課題に感じています。

その中でも店舗のメニューが半額価格で食べられる「食事補助」は結構活用いただいています。

実は、一時期値引きの割合が半額ではなくなった時期があり、その際に従業員の方々から不満の声が上がりました。今年の5月からまた半額に戻したのですが、人事として現場で働く方のリアルな声は大切にしていきたいので、結果的に活用いただいている福利厚生の一つになって良かったと思っています。

 

安心して長く働いてほしいという想いから、今年の4月に2つの新制度を導入

ーー他にはどのような福利厚生がありますか。

今年の4月から新しく「パートアルバイト退職金制度」「確定拠出年金制度(企業型DC)」を導入することになりました。

 

アルバイト・パート向けの新制度「パートアルバイト退職金制度」

ーー「パートアルバイト退職金制度」は具体的にどのような制度でしょうか。

「パートアルバイト退職金制度」は、私たちMiグループで長期間に渡って勤務していただけるパート・アルバイトの皆様へのインセンティブとして、累計勤務時間数などで計算した退職金を支給する制度です。

 

今年の4月21日が起算日となるのですが、受給資格というのは他にもあって、これまで長く働いてくださっている方が入社したばかりの方と同じ起算日になってしまうのは不平等ですので、その点に関しては、工夫しています。

ーー導入のきっかけとなった出来事や背景、想いを教えてください。

導入への想いとしては、弊社に長く勤務いただいたお礼と、少しでも手残りを多くしたいという社長の想いが強いです。
また、店舗クルーの定着率を上げるためでもあります。

せっかく入社してくれたのなら長く働いてほしいのと、勤務時間が長ければ長いほど比例して退職金が増えるので、Miグループで長くいっぱい働こうという動機付けになってほしいと思っています。

 

ーーこの制度の導入について現場のパート・アルバイトさんからどのような声がありましたか。

やっぱり、長く勤めている人は結局どうなるの?というような心配の声はありましたね。

とはいえまだ始めたばかりで受給実績自体はないので、どのくらいもらえるのかなという楽しみをもって働いていただけてることも事実だと思います。

 

ーーパートアルバイト退職金制度はあまり聞かない福利厚生ではあると思いますが、なにかを参考にされたのですか。

いえ、独自でやろうと決めたことです。

元々時給を上げたいという話はよくしていたのですが、全体で見るとシンプルにかなりの人件費が高くなってしまうのと、長く働いてくれる人をもっと増やしたいという想いがあり、でもお祝い金だと短期で辞めてしまう可能性もある。これは独自につくるしかないと思い、長く働いてくれている人のことを考えてこの制度は生まれました。

 

ーー導入することがゴールではないと思いますが、人事としてはどのような思いがありますか。

飲食業界に限った話ではないですが、時給をどこも上げて上げての競争になっているため同じ時間を働くのであれば少しでも時給が高いところで働こうと思う求職者の方が多いと思います。ただ、大前提は働きやすい環境や人間関係の方が大切だと思います。

パート・アルバイトさんの退職金制度があることが一つの差別化するポイントになって、ウチを選んでいただいて楽しく働いて欲しいなという想いです。

クルーの定着率を上げるという課題に対して店長とのコミュニケーションばかりに頼るのではなく、福利厚生でそういった手助けにもなればいいなと思っています。

 

正社員向けの新制度「確定拠出年金(企業型DC)」

ーーでは「確定拠出年金(企業型DC)」は具体的にどのような制度でしょうか。

「確定拠出年金(企業型DC)」は、加入者ごとに拠出された掛金を加入者自らが運用し、その運用結果に基づいて給付額が決定される年金制度です。会社から拠出される掛金は非課税なので、税金・社会保険料がかかりません。

 

ーー導入のきっかけとなった出来事や背景、想いを教えてください。

「確定拠出年金(DC)」は、従業員の老後の人生設計のためなど理由は色々ある中でも、一番はお給料の手残りを多くしたいという社長の想いからです。

 

ーー他にも、働き方に関してやってみたいなと思うことはありますか。

飲食業は体力がやはり必要です。定年まで店長として現場で長く働くことを想像できない従業員は多いと思うので、新しいポジションや役割を増やして、その人に合った働き方ができる環境をつくりたいですね。

また、女性のキャリアプランというのがあまりない状態のように感じています。お子さんが大きくなって働く方でも、なかなか時間と体力的にも厳しくなり、責任範囲が大きい店長になることは難しい、でも誰かの下で働くことができればいいなという人はいます。

エリアマネージャーの管理できる店舗を減らして、何かあった時に密にコミュニケーションをとって対応できるなど、いつでも頼ることができる存在が近くにいれば、女性でもより働きやすくなるのかなと思っているので組織としての役割から見直していきたいです。
 

ーー従業員からの評判のいい福利厚生や待遇はございますか。

非喫煙者手当(禁煙手当)ですね。

私は喫煙者ではないのですが、従業員から聞いて評判が良かったのは禁煙手当でした。

以前は社内の喫煙率が高く、2020年4月1日に全面施行された「改正健康増進法」により、飲食店は原則屋内禁煙が義務化され、分煙などの対応が求められることとなりました。

 

この改定に向けて、弊社では2019年4月より禁煙に向けて非喫煙者手当を開始し、会長自ら啓蒙活動を行い社員の喫煙者が激減しました。禁煙したいと思っている人にもきっかけになると思います。

お客様が吸えないのに従業員が吸うのはよくないよね、ということで禁煙手当(1万円)を制度として取り入れることになりました。

結果、これを機に禁煙できた従業員が増えて、「ご飯が美味しくなった」「タバコ休憩も必要なくなって時間に余裕が持てるようになった」などの声がありました。

でも体重が増加してしまったという方もいましたね(笑)

 

テーブルを囲んで会話が途切れない、そんな業態を守り続けるために会社も変化し続けます。

ーー満福屋として長く続けて欲しいなと思う人の共通点は何かありますか。

仕事にやりがいを感じながら、誇りを持っている人ですね。

そのような方々が、安心して働ける環境が大事で、何よりも真面目に頑張っている人を正当に評価したいです。そのための福利厚生の導入でもあります。

 

ーー今後、福利厚生・待遇を充実させ、今後会社としてどのようにしていきたいですか。

従業員の今の働き方として、引越しをする可能性がある総合職か、引越しをしない地域限定職の2択なんです。でも、日々面接をしていると「福岡県内であれば引越しできます。」と言っていただく方もおり、1県だけの引越し可、2県だけの引越し可、みたいなイメージで一人一人の生活環境、住みたい場所に合わせた働き方や給与などの勤務条件をもっと増やせればなと思っています。
 

ーー女性目線でこうしたいということはありますか。

飲食店で働く20代や30代の方にこれから5年後どうなっていたいか?という質問に対して、結婚して、子供を産んで、子育てしたい。って、答えるのは普通だと思っていたんです。ただ人事をしていくうちに仕事やキャリアという話が未来にはなく、それで終わりなのは違うなと今は思います。

子育てしながらでも働ける場所があることが一番いいと思っていて、そのために何ができるのかというのを考えますね。

私自身も女性としてその気持ちもわかるので、居心地のいいいつでも帰って来れる場所をつくれるようにしたいです。

ーー最後に、働き手が減っていく中で、どんどん亭を中心とした食のブランドとしてこだわり続けたいことはなんですか。

テーブルを囲んで食事を楽しんでいただくことです。

私たちは、基本的に会話が弾む業態なんです。もちろん、お一人でご来店されるお客様は、もくもく食べることはできますが、お好み焼きをひっくり返す時に盛り上がったり、切り分けてみんなにシェアしたり、必ず会話が生まれます。

人が減ったとしてもテーブルを囲んで会話が途切れないことは変わらないので、そこを守るために働き方など会社としても色々変化していきたいです。

 

 

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  • hatena
Miコーポレーション株式会社