【対談】夢は「農業王」。これが私の仕事であり、生き様。 【九州永田×築山製茶農園】
written by 有瀬 琴美
本当にいい食べ物を届けたい、食を楽しむ方々に本当の美味しさを知ってもらいたい、そのために私たち九州永田ができることは何なのか?
噴口屋から始まり、現在は農業の課題に向き合い、商品開発も手がける会社になった九州永田の坂部さん。
プライベートでも仲のいい築山製茶農園の築山さんとの出会いから、これまで歩んできた道のり、お二人の関係性、農業に対する想いなどを取材させて頂きました。
坂部 龍也さん
株式会社九州永田代表。
「健康にも害のない、本物の食を食卓に運ぶ」ために仕事をしている。
そのために、環境に良いモノを常に研究して開発し、お客様にお届けしたり、農業で働くすべての方々の想いを汲み取って「本当に届けたい食を届ける」ためにどうすればいいか?という課題に対して本気で仕事に向き合っている。
▼坂部さんってこんな人
# 夢は「農業王」になること
# 農業・工業用ノズル製品のスペシャリスト
築山 博文さん
築山製茶農園の淹茶師。
平成17年には農林水差大臣賞を受賞しており、現在は築山さんが中心となり、お茶の栽培から製茶まで一貫して行っている。
坂部さんとは15年の付き合い。
▼築山さんってこんな人
# 幼いころからお茶畑
# お茶一筋の日本茶インストラクター
私たちの人生、経験したこと
---お二人のこれまでの人生について簡単に教えてください。
坂部「帝王切開で生まれた逆子だったから、世の中を逆に見ているところから私の人生は始まりましたね(笑)人事不足の影響もあり、大学卒業後にそのまま九州永田に入ったのでこの会社しか知らないサラブレットです。」
築山「私もこのお茶の業界しか知らず、お茶を始めてるのは祖父の時代からで、それを小さい頃から見てきているので、自分がやらなきゃいけないとずっと思っていましたね。」
坂部「後に築山さんとの出会いのきっかけにもなるのですが、それまでは噴口屋としてお客さんに言われたものを売ってそれで終わりだったのが、お茶農家さんの困っていることなどを耳にし、作物別の課題を見つけてそこの商品開発をしていこうということになり、その第一号の作物がお茶で、これが転機でもありましたね。
お茶生産の資材研究を深めていく中で、外で生産しているお茶でも人工的に水やりをする資材を導入することで茶葉の品質向上が目指せることに着目し、築山さんに提案させていただきました。
そして、導入していただいた築山さんのお茶園では翌年農林水産大臣賞を受賞されました。
そういうこともあって九州永田の技術を少しづつ確立していき、今があります。」
築山「私は、いずれはお茶をしようと思っていたけど、すぐにしようとは思っていなくて、大学に行きたかったのですが、大学受験に失敗し、静岡に逃げたんですよ。
静岡に農林水産省が管轄するお茶の研究機関があって、そこで2年間学生を募集するのでそこの試験を受けて2年間行くことに。
ですが、途中で同級生が予備校に通って浪人してまで大学に合格していっているのをみて、俺は何を逃げているんだ?と思い、再度大学に行きたい思いが強くなっていました...。
とりあえず静岡での2年間の研究は終わらせてからならいいぞという親の許可をもらい、2年遅れで無事大学に入り、25歳で卒業、そのまま現在のお茶の仕事に就きました。」
私たちの出会いの馴れ初め
---本日お二人はお会いして早々、会話のテンポも良く、友達のような関係にびっくりしました!どのように出会われたのですか?
坂部「農業の仕事をしていく中で、お茶が大好きでお茶に関する事業を強化していきたいと想いがあったんです。作物別にいろいろな取り組みをしていた時期でもあって、その中でお茶の消毒の部署で、”カイガラムシ”に農家さんはみなさん困っていたため、その虫をを消毒できる手動の機械を九州永田で開発した事が始まりでした。
そして、毎年、全国茶品評会というのがお茶の産地で行われているのですが、初めて展示会に出したところ、そこで築山さんのお父様に“説明に来てほしい”とお声を掛けていただいたことが築山製茶農園さんとの出会いでした。」
築山「その頃からだと、もう15年の付き合いになりますね。」
坂部「15年も経ちましたか~(しんみり)。農作物別の商品開発に取り組んでいなかったら出会えていなかったかもしれません。」
こんな失敗や苦労もしてきました...
---今のお仕事を極められて、今ではプロ中のプロのお二人でも失敗はいくつかあったのかなと思います。
坂部「もちろん!いくつもあった失敗の中でも、特に印象に残っているのは、取引先第1位と、第3位が倒産してしまったことですね...。
取引額第1位の会社はお茶関係で、第3位の会社は噴口のみの取引の会社でありした。大手におんぶにだっこの状況や噴口だけに偏っていたとしたら本当に会社をつぶしてしまうと思ったきっかけですね。」
築山「私は、お茶にとって大敵の”霜”により苦労したことが何度かあります。自然現象でどうしようもない部分ではあるのですが、25年間お茶に携わってきて、2~3回最恐クラスの寒波により1年大事に育て上げてきたお茶が1日でダメになったことですかね。」
---その経験により変わったこと、成長したことなどはありましたか?
坂部「噴口だけ売っているのではダメで、自分たちでちゃんと商品開発をして、農家さんの課題を解決する方向に持っていかないといけない、存在価値を高めていかないといけないと思うようになりましたね。そして実際に作物別の課題に対しての商品開発をするようになり、現在の九州永田があると思っています。」
築山「霜が降りないようにする機械を導入したり、工夫は続けていますが、100%ではありません。それでも、そのような苦労した経験があるからこそ、よりお茶に対する想いも強くなりますね。」
---失敗や苦労したことで、得るものって意外と大きいですよね...!
実は、お互いのことをこんな風に思っています
---急ですが、お互い褒め合って頂いてもいいですか?
坂部「急ですね(笑)こんな面と向かって褒めるなんて、なんか照れますね。」
築山「(笑)」
---一緒にお仕事をしていく中でお互い、すごいな尊敬するなって思うこととか、結局人柄でやってるなーとか思う部分って何かありますか?
坂部「そうですねー、やっぱりダントツで、“お茶に対する真摯な姿勢”ですね!ほんとプロだなと思う。芯がブレないのはそこです。築山さんは人柄も話しやすいですし、製品に対しても全部いいとは言わずしっかり正直な意見をくれるのも、信じられるところです。」
築山「噴口って、実は一回買えばちょくちょく変えるようなものではないんですよ。ですが坂部さんは噴口だけでなく、多方面で伸ばそうとしているところはすごいと思います。
自分が得意な分野のみでやる方が多い中で、多方面で伸ばそうとする方って少ないんですよ。なので、”こんなものを取れる?”と相談すると、」
坂部「“あるよ”っていうね(笑)」
築山「そうなんです、“あるよ”とか“なんとかなるよ”と大体の物を準備してくれます。それなので、どこでこれを買おうか、どこで手配すれば見つけられるかな?という物でも、坂部さんにお願いすれば大体探してきてくれるので有難いですね。」
---ビジネス的な部分や道徳的な部分どちらもバランスよく互いに互いを必要としている関係性が伺えました!
私たちの仕事の原動力はコレ!
---仕事の原動力になっていることって何がありますか??
坂部「噴口含む、農業機械って、提案した製品に対する評価が分かるのが、半年後や1年後など結構先なんです。その際に“あなたが紹介してくれたこの製品でこんないい結果が出たよ!”など結果に繋がったことです。その時の生産者さんの言葉が何よりも嬉しいですし原動力になります。
また、取引を行う生産者さんの品物が実際に店頭に並んでいるのを見て、守っていかないといけない!という使命感も原動力になっていると思います。」
築山「私も評価といった部分では坂部さんと同じで、問屋さんにいい評価を頂けたときや、さらにいい評価を得る為にはそうしたらいいか?何が必要か?など試行錯誤することも原動力になっていますね。そして、イベントに出店して毎年同じお客様が来てくれたり、消費者さんの生の意見を聞けるのも嬉しいことです。」
この業界はこんな感じ、だから変えていきたい
---業界に対して思うことって何かありますか?
坂部「農業って、途方もない労働時間を費やすお仕事で、何かあればすぐ畑家畑家と往復の繰り返し。それでも市場に逆らえない部分があって、いくら時間をかけて作っても労働したことに対する対価が得られないことが多いんです...。労働対価を商品に転嫁できればいいと良く思いますね。」
築山「そうなんですよね。お茶の場合は、自分が最高の物を作った!と思っても、客観的に見た人の評価では違う、ということも結構よくあります。
なのでその評価に対してクレームを出す人もいるんですよ。自分が作るものが最高というプライドは必要ですけどね。
お茶は保存が利くので、旬があるようでないものなんです。
坂部さんのおっしゃる通りで、作るために工夫していることは全く見てくれず、物価に影響されやすい業界です。」
坂部「いい物をつくりたくてもつくれない、構造を変えない限り難しいですよね。なので、生産者さんも声を上げないといけないと思います。」
これからの未来に向けて
---これからやってみたいこと、成し遂げたいことはありますか?
坂部「お客様が1年でも長く仕事を続けられるよう、自分たちにできることは何か?をお客様目線で考え、自社にも反映させていくことですね。
それにより、食を楽しむ人間に、本当に美味しいモノを届けていける「農業王」になりたいです。」
築山「私は、ペットボトルではなく、“急須”で入れる本当のお茶の味をもっと多くの人に知ってほしいです。
今お茶を飲まない家庭がとても増えてきていて、小学生にお茶の入れ方を教える機会もあるのですが、お茶の急須を見たことがない人もいたことには衝撃でした...。
飲む飲まないを別にして、お茶はこういう味なんだ、筑後には有名なお茶を生産しているところがたくさんあるんだということも知ってもらえるよう、お茶についてのイベントは開催していきたいですね。」
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